学習資源の検討
自己学習を終えてグループメンバーが集まったら、どのような学習資源を用いたかについて、お互いに議論をしましょう。この時点では学習した内容について議論をしない点に注意して下さい。このとき、次の点に注意して議論をします。
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近年、インターネットを使って学習資源にあたる例が増えています。全ての情報に当てはまるわけではありませんが、インターネット上の情報は、上の観点で不適切な場合が多いので、特に注意深く議論・検討しましょう。(コラム参照)
PBLに慣れてくると、この段階にほとんど時間がかからなくなります。著者は信頼できる人物か、研究手法・分析手法・実験手法が適切か、統計的な検証など客観的な議論をしているか等の観点から、有益な学習資源がどのようなものかが理解できるようになるためです。
問題を再検討する
自己学習を終えた後では、示された問題事例に関する知識が飛躍的に増えているでしょう。まず、教員から示された問題事例をもう一度見直し、どのような解決・回答の方法があるかを議論してみましょう。新たに得た知識で、より現実的で妥当な解決・回答の案がまとめられるはずです。この時、メンバー全員が学習した内容を順に発表するような作業は、必要ありません。あくまでも、問題の解決策を考える、問題への答えを出す、という観点から議論をします。教員から指示された形式で、問題への回答をまとめます。
学習成果を発表する
PBLでは、学習の成果として事例問題に対する解決策を示す機会が設けられます。その方法は、文書にまとめて報告する(レポート)、聴衆の前で発表し質疑応答に答える(プレゼンテーション)、実際に問題解決の実演を行う(デモンストレーション)などの方法があります。成果の発表内容は、ほとんどの授業で評価項目になっていますから、みなさんはこの発表の成功に向けて努力する必要があります。
授業によっては、あるいは学部の方針によっては、他の授業の学生と合同で発表する、学外のセミナー、イベント、研究会などで発表する機会もあります。これらは、学習成果に対する責任を実感できる貴重な機会ですから、積極的に参加しましょう。
発展的な学習へ
問題を再検討する過程では、より詳細に学ばなければならないことや、新たに学習すべきことに気づくべきです。そうした学習事項は、必ずあるはずです。授業によっては、最終的な問題の解決に至るまで、自己学習とグループ討論の過程を何度かくり返す場合があります。しかし、そうした機会が得られない場合でも、新たな自己学習の課題として授業終了後も学習を続けることを勧めます。この経験は、次の問題や、他のPBL授業において、あなたが初期に持つ学習資源を豊富にすることからです。
コラム:インターネット情報の評価方法 教員の多くは、インターネット上の情報に、過度に依存した学習や情報収集に否定的です。インターネット上の情報を活用する際は、以下のチェックリストに沿って、対象のウェブサイトを評価し、活用に値するか否かを検討した上で利用するよう心掛けて下さい。 1. 信頼性 1) 著者の信頼性 a) 学歴、職歴、専門分野など 2) 品質管理の証拠 a) 組織のサイトか 3) メタ情報 a) 要旨、目次の有無 4) 信頼性を疑わせる情報 a) 匿名記事か 2. 正確性 1) タイムリーか:時代遅れの情報でないか 2) 包括的か:意図的に重要な事実や選択肢を隠していないか 3) 誰に対して何の目的でかかれたものか 4) 正確性を失わせる情報 a) 執筆年月日の不記載 3. 合理性 1) 公平性:他者の意見を尊重しているか、怒りの論調がないか、情報の操作がないか 2) 客観性:偏向を廃する努力が見られるか、組織的な偏向や利害関係があるか 3) 中庸性:極論を廃する努力が見られるか、人目を引くような強調がないか 4) 一貫性:自己矛盾がないか 5) 世界観:政治的、経済的、宗教的、哲学的立場に偏りがないか 6) 合理性を疑わせる情報 a) 批判的な論調の有無 4. 支持性 1) 出典や参考文献が明示されているか 2) 内容を裏付ける資料が他にあるか 3) 自分の既知の事実との整合性 4) 支持性を疑わせる指標 a) 出所の不明な統計があるか |